いくつかの折々の手紙

哲学などに関わる軽い読み物

2021-01-01から1年間の記事一覧

パーティーを開く理由:ウルフ『ダロウェイ夫人』

「誰それがサウス・ケンジントンにいる。べつの誰かがベイズウォーターにいる。またべつの誰かがたとえばメイフェアにいる。わたしはたえずその人たちの存在を意識しつづけている。そしてなんてむだなことか、なんて残念なことかと感じる。その人たちを一緒…

ことばは人を孤独にする(いくつかのテキストによせて)

周りの人たちを見ていると、ことばが巧みな人は、「孤独」と言ってもいいかもしれないものを抱えているように見えることが、多い気がする。と言っても、観測した例は三人くらいだし、「ことばが巧みな人」ってどういう基準があるんだと言われたら答えられな…

いつか行ってしまう友人のこと:榊原紘「悪友」から一首

(さかきばらさんの「榊」はカタカナの「ネ」に似たほうの示偏のようなのですが、変換できないので代用しています。すみません。) 立ちながら靴を履くときやや泳ぐその手のいっときの岸になる (「悪友」) 榊原紘さんの連作「悪友」(『ねむらない樹 vol.4…

連作7首_さしだしもの(M・Mに)

死者とはなす口もたぬゆえときどきは中空にそよと泳がす目 やった! かつ丼だ! しかし豚さんのスマイルぼくに投げかけられて 焼くと色が変わるのってよいよね 赤いままだと食べられなかった 死者にくちないわけでなくたとえば垣根の椿などにはたぶん きみの…

正月特別企画:自己紹介

これを書いている今、正月休みなのですが、暇を持て余してしまいました。何か書こうと思うのですが、よいネタがありません。そこで、自分のことについて語ろう、自己紹介をしよう、と思い立ちました。 〇僕の生まれ 悪魔が地上を歩き回り、ふらついてきたよ…